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やっと唇を離した時には、ハクちゃんの唇は赤く腫れあがり艶めかしく潤っていた。
最後のリップ音の響きが尾を引いてまだ残っているような気がする。
「はぁ…っ…はあぁ…」
「……嫌いな子に、キスなんてしないよ」
「…響也、さん」
「ハクちゃん…好きだよ」
「…っ」
ハクちゃんを抱きしめながら、耳元で囁く。細い胴体の柔らかさは赤ちゃんを抱いた時のように頼りなく儚げだった。
告白なんて、まだするつもりはなかった。もっと計画的に、もっとムードのあるところでしたいと思っていた。それなのにオレの口からはさも当然のように言葉が出てきてしまって。
「…好き。すっごく、好き……どうしようもなく、好きだよ…」
「………」
濡れている白金の髪を撫でながら、もう溢れ出てしまって止められない想いを口にする。
顔が火照り、心臓は轟くように忙しなく動いている。ハクちゃんはオレの腕の中で動かずに、されるがままになっていた。
本当はずっとこうしていたいけれど、母さんが遅いことを気にして見に来られても困るから、オレは名残惜しさを感じながらもハクちゃんを解放した。
「…返事はいいからさ。とりあえず風邪ひかせたくないから、早くドライヤーで髪の毛乾かそっか」
「……はぃ」
ハクちゃん…なにその可愛すぎる表情は。腕を離してハクちゃんの顔を見下ろせば、白い肌をお風呂でピンク色になっていたのを通り越して、真っ赤だった。
それに加えて唇を噛み締めて、こくりと小さく頷く。オレの服の袖をつかんだままとか…もうマジでオレの理性をどうしたいのハクちゃん。
と、言いたいことはたくさんあったけど何とか喉で突っ返させて、ドライヤーをコンセントに差してハクちゃんの後ろに立った。
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