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自分でやります、と言いながらドライヤーをオレの手から奪おうとしたハクちゃんを嗜めて、そっとハクちゃんの髪に優しく触れる。 ドライヤーの電源を入れると、ブォォという鈍い音と熱風がオレたちの間にあった気まずい雰囲気を少しだけ和らげてくれた。 ハクちゃんの白金の細い髪に指を通して優しくドライヤーの風を当てる。鏡の中に映るハクちゃんは、気持ちよさそうに目を閉じていた。 だから…ハクちゃん、そんな無防備な顔を見せちゃダメだって。これでも人生で一番なんじゃないかってくらいに我慢しているんだから。 ハクちゃんの髪は長いから時間がかかるかと思ったけど、1つ1つの毛が細いおかげで乾くのは早いらしい。10分くらいである程度は乾いた。 「……はい、もういいかな」 「ありがとう…ございました…」 オレが乾かした髪を愛おしそうに触れながら、ふわっと笑った。 ――――――もう、本当にこの子はオレをどうしたいんだろう。こんなことされて勘違いしないわけないじゃん。 「あの、響也…さん」 「ハクちゃん、ご飯食べよう」 ハクちゃんが何かを言おうとしたのを、オレは言葉を被せて止めた。こんな状態じゃさっきの話の続きも出来ないし、聞かなければいけないこともたくさんある。 話の続きはご飯を食べてからゆっくりオレの部屋で聞こう。……と思いながらも、自分の部屋にハクちゃんを入れるのがとてつもなく怖いんだけど。 オレの理性には頑張ってもらわないといけないんだから、食欲を満たして性欲を抑えよう。 リビングに戻ると、食卓の上には母さんの得意料理である鯖の味噌煮とご飯に味噌汁、サラダが綺麗に置かれていた。 「さぁ、たくさん食べてね」 「わぁ…おいしそう…」 「ふふっ、ありがとう。お口に合えば嬉しいわ」 ハクちゃんがお風呂に入っているときに、母さんにはいろいろ聞かれたけどただのクラスメイトってことだけを言った。 全く信じてないような目とニヤニヤした顔でじろじろとオレを見ていたから、ハクちゃんを彼女候補だと思っているんだろうけど。 .
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