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ひ弱そうに見えて、思ったことをすぐに行動に出せる大胆さを持っている。そんなギャップが、さらにオレの想いを強くする。
「でもハクちゃん、思ってたって過去形ってことは今はさよならを言おうなんて思ってないってことだよね??」
「…はい。その、…響也さんに会ったら……さよならなんて言いたくなくなっちゃって…」
ヤバイ……何でそんな可愛いことをそんな可愛い顔で言ってくれるんだろう。すんごい胸が心臓のせいで痛いんですけど。
「ハクちゃん……っ」
「あ…響也、さん」
オレはたまらず、ハクちゃんをもう一度強く抱き締める。折れてしまいそうな細さだけど、ハクちゃんも抱き締め返してくれたから無意識に強めてしまった。
甘い匂いと細いのに柔らかい身体、抱き締めるときにオレの胸に当たるハクちゃんの……豊満な、胸。
身体のあらゆるところにつくはずだった脂肪が全部胸に寄っちゃったんじゃないかとさえ思うほど、細身の身体とは結び付かない。
柔らかくて、今すぐ押し倒したい欲が強くなっていくのは男なら仕方がないことで。それでもオレは、ハクちゃんに嫌われたくないから我慢をする。
「ねぇ、ハクちゃん」
「はい…?」
「家に帰りたくないなら、ずっとここにいればいいよ」
「…………ぇ、」
「オレにはハクちゃんが必要だよ。ハクちゃんが大好きだよ。ずっとずっと、一緒にいたい」
「っ……ひ、び…ゃ…さん」
「絶対にハクちゃんを1人にしない。ハクちゃんを嫌うことなんて一生あり得ない。……在り来たりなことしか言えないけど、オレは本気でハクちゃんが好きなんだ」
「…っう、…ふぅ…」
ハクちゃんの頬を両手で包み込み、鼻と鼻がくっつきそうな距離で素直な言葉を紡ぐ。ハクちゃんは、ボロボロと涙を流す。
その涙が止まるように、ハクちゃんの瞼に唇を寄せて、チュッとキスをした後、舌で涙を舐めた。
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