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胸が焼けるような経験したことのない感覚に、無意識に眉間にシワを寄せて顔を歪めていたらしい。
ハクちゃんが眉を八の字にして、心配そうにオレの顔に手を伸ばす。ひんやりとした手はとても小さいけれど気持ち良かった。
「…どうして、そんな顔…してるんですか」
「……オレ、どんな顔してる??」
「とても辛そうで、苦しそうな顔をしています」
「そっか。何でか、分かる??」
「…私の、せい…ですよ、ね…」
「……好きなんだ」
「…」
「ハクちゃんが、好きなんだ」
「…っ」
オレの頬に添えられていたハクちゃんの手を掴んでベッドに押さえつけながら、ハクちゃんの身体の上に圧し掛かった。
ベッドとオレの間に挟まれたハクちゃんが潰れないかと一瞬頭を過ったけれど、ハクちゃんは何も言わずにオレの首元に頬を擦り付ける。
そんな可愛いことをされたら離れることも出来ずに、ハクちゃんをそのまましっかりと抱きしめた。
ハクちゃんもオレの背中に腕を回してくれて、精一杯に抱きしめ返してくれる。回している腕がオレの背骨ぐらいまでにしか届いていない。
オレは回している手が反対側の肩を余裕に掴めるくらいなのに。オレとハクちゃんではそれだけの差があることも改めて実感した。
「ハクちゃん」
「…はい」
「……オレと、付き合って下さい」
「…っ…」
耳元で絞り出すような声で囁いた。ここで言わなければダメだと、直感で思った。だから、オレは弱っているハクちゃんに付け込んで告白をする。
しばらくの沈黙が続いた。抱きしめていた腕を緩めて、ハクちゃんの顔を覗き込む。頬を真っ赤に染めて、泣きそうな、どうしたらいいか分からないと言うような顔だった。
唇が触れそうなほどの距離でもう一度。
「オレと付き合って下さい」
人生で初めての、告白をした。
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