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9月に入ったというのに暑さに陰りは見えないアスファルトの道を歩きながら、話題は当然のように今日決まった体育祭の種目に移った。 天磨は100m走、部活対抗リレーと騎馬戦、22人23脚。和遥は障害物競走と22人23脚、そしてタイヤ引き。って言ってもタイヤの上に乗る役目らしい。 和遥はバリバリの秀才だが運動神経はお世辞にもいいとは言えない。身長の割に細身で体重も軽いことから抜擢されたとか。 そしてずっと気になっていた玖珂白桜の種目はと言うと。 「女子の団体競技はムカデ競争…と綱引き、です。個人種目は…障害物競争で、後、仮装リレー……にも出ることになりました」 初めて参加する学校行事だからか、玖珂白桜は運動は苦手でも嬉しそうに話す。俺たちも、最後の種目を聞くまでは予想通りだった。 仮装リレー、と言うのは。まぁそのままの意味なんだが……毎年必ず、高校1年~3年の女子の種目に組まれている名物種目。 ちなみにうちの高校の体育祭は縦割りで競うことになっている。1年、2年、3年の1組がチーム、それが合計8組だ。それぞれの種目の順位で点数が加算され、優勝を競うというもの。 そして女子の仮装リレーは、その縦割りで競う。それぞれのクラスから2人選出され、1チーム6人となり、8チーム対抗で1位を目指すものだ。 「………ハクちゃん、どうして仮装リレーに出ることになったのかなぁ??」 「え…あの、女の子たちがどうしても私に出てほしい、って…言ってくれて…その期待に応えたかったので…」 響也の口元は笑っていても目が笑っていない笑顔を向けられ、視線を泳がしながら正直に答える玖珂白桜。 そんなことだろうとは思っていたが、俺と響也は同時に深いため息を吐いた。 .
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