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一応リレー種目なのに運動が苦手な玖珂白桜が出ることになったのは、仮装リレーには足の速さがほとんど関係ないからだ。 最初のスタートこそは足の速さが必要かもしれないが、一定の場所に大きなBOXがあり、その前に仮装する衣装が入った袋がたくさん落ちている。 その中から適当に選び、BOXの中に入って着替え、次の相手にバトンを渡すために走る…なんて、可愛いものではない。 さすが名物種目とも言えることを、仮装した後にする羽目になるのだ。 「か、かか仮装リレーって…あっ、あの仮装リレー、でですよ、ねっ?」 「姫っ!?仮装リレーのルール、分かってんのか!?」 「え……仮装して走るんじゃ…」 天磨と和遥は今さら気付いたのか、顔を青くさせて口をわなわなと震わせている。何も知らない玖珂白桜はきょとんと首を傾げた。 「ハクちゃん、仮装リレーはただ仮装して走るだけじゃないんだよ~」 「どういう、ことですか…??」 「衣装が入った袋の中に1枚の紙が入ってるんだぜっ。その紙に書かれているのが…!!」 「女子には結構厳しいお題なんだよねぇ…」 運が良ければ、そのまま走るなんてものもあるが、それを引くには相当の運が必要だろう。 中には新聞紙を詰めただけのダミーなどもあり、それを引いたらもう一度違う袋を取りに行かなければならない。それだけ、たくさんの袋が用意されている。 「お題…って…?」 「衣装に着替えたら、その紙に書かれていることをやりながら次の人の所まで走るんだよ~」 「どんなお題があるんですか…??」 「……今流行の芸人の一発芸をやるとか~、好きな男子の名前を叫びながら走るとか~。まだこのくらいは優しい方だよねぇ」 響也の言葉に天磨は大袈裟に首を縦に振る。しかしここで天磨と和遥との分かれ道に着いた。 .
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