468人が本棚に入れています
本棚に追加
/275ページ
予定時刻になると始まった全校集会。雨の湿った音が響く中、くそつまらない集会に眠気が襲う。
生活指導教師の話や生徒会長の話など、全部を聞き流して。やっと最後の校長の話になった。
ステージに上がったのは、去年4月からうちの高校の校長になった玖珂槙志（ｸｶﾞﾏｷｼ）。物腰柔らかそうなおっとりとした雰囲気と容姿からはとても校長には見えない。
実年齢も今年で42歳になるらしいが、見た目は30代前半と言っても納得出来る。
地毛だという茶髪は英国風フレッピーで大人のヌケ感スタイル。毛先のユルい束感。くしゃっとしたトップ。すっきりした耳周り。首が長くみえる襟足。
綺麗な鼻筋にたれ目。薄い唇の下には色気漂わせるホクロ。俺と同じくらいの身長だからたぶん190㎝はあるだろう。
とりあえず文句なしのイケメン校長の声もセクシーボイス。女子たちがうっとりとした眼差しで話を聞いている。単純過ぎて笑えるわ。
最初、玖珂白桜が転校してきた時、名字が校長と同じせいもあって親戚か親子なのではという噂が流れていた。
そのおかげで贔屓されているとしたら辻褄が合う。しかし玖珂という名字は全校生徒合わせて10名ほどいる。
教師たちもその噂を否定していたから、そんな噂もすぐになくなった。
それに校長は独身らしいから、子供はいないとも女子たちが騒いでたな。
そんな校長の話が終わり、ようやく解放されるかと思ったが。次は部活で成績を残した野球部や俺たちサッカー部、その他の部活の表彰式らしい。
俺は部長でも副部長でもないから登段しないから関係ないっちゃ関係ない。だからだるいとしか言いようがない。
と言うか、さっきっから腹が痛くてトイレを我慢してる。トイレ行きたい今すぐ行きたい。
いよいよ我慢できなくなった俺は並んでいる列から抜け出して、後ろに立っている教師の元に急いだ。
.
最初のコメントを投稿しよう！