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玖珂白桜side 10月だと言うのに、真夏が1日戻ってきたような暑い日。空が、今日の体育祭を喜んでいるかのように真っ青だった。 いつもと雰囲気の違う学校。生徒は制服ではなく、体操着で登校して。普段はサッカーゴールと奥の方にテニスコートがあるだけのグラウンドにはいくつものテントが立っている。 これからの競技に熱を増す人や、楽しみだとはしゃぐ人に思わず私も目を細めながら高鳴る鼓動の上に手を置いた。 「ハクちゃん、ハチマキしようねぇ」 教室から窓の外を眺めていた私の後ろに、響也さんがピンクのハチマキを手にしながら立っていた。その響也さんの頭には既にピンクのハチマキが巻かれている。 肩まであった明るい茶髪は後ろで小さく1つに結ばれていて、いつもと違う雰囲気にドキリと胸が鳴った。 「…ありがとうございますっ」 「オレが結んであげるよ~。ハクちゃんも暑いから髪の毛1つにまとめようかぁ。オレ、ゴム持ってるからさ~」 「はいっ、よろしくお願いします!!」 「じゃあ後ろ向いて~」 言われた通りに響也さんに背中を向ける。さらり、と髪を撫でられる感触が気持ちよくて目を閉じた。 腰まである私の髪を丁寧に後ろにまとめていく響也さん。つむじより少し後ろの高い位置でポニーテールにしてもらって、ハチマキを縛ってもらった。 「はい完成~。こっち向いて、ハクちゃん」 「ありがとうございました」 お礼を言いながら振り向くと、響也さんは目を見開いて少しの間固まってしまった。どうしたんだろう、と首を傾げるといつもの響也さんに戻って。 「うん、すっごく可愛い~。ポニーテールもピンクのハチマキもハクちゃんにピッタリだねぇ」 そう言って誉めてくれた響也さんの方こそ似合ってます、と言いたくても恥ずかしくて言葉が喉に突っかかってしまった。 .
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