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もういいよ、と頭上から降ってきた響也さんの声に顔を上げると、入場門の前だった。周りにはたくさんの生徒がいて、入場門が遠い。
1組から3学年纏めて入場するから、8組の私たちは一番最後。男女一列に並んでいて私も並ぶ。前と後ろの女の子が私を見てとてもテンションが高かったのが印象的だった。
そしてアナウンスと共に行進曲が流れ初めて、1組が入場していく。初めての学校行事に胸が踊り、少しだけ緊張してきた。
すぐ隣に立っていた響也さんが「ハクちゃん、リラックスリラックス~」と言ってくれた。スッと身体の力が抜けて感謝の気持ちを込めて響也さんに微笑んだ。
あっという間に入場は終わり、生徒会の人たちがマイクを握る。司会者の人が『ただいまより、T高等学校第37回体育祭開会式を始めます』と言った、瞬間。
――――パンッパンッパンッ
何かが破裂する音が、響いた。
反射的に、脳の中で過去の動画が何倍もの速さで流れていく。全身の血流が蠢き、手足がガクガクと小刻みに震えてしまう。
頭では、分かっている。ただの花火の音だってこと。分かっている、分かっているんだけど。
破裂する音は、大きな音は。
私の一番嫌いな音で。
身体が言うことをきかなくなる音で。
「…ハクちゃん??」
呼吸がうまく出来なくなる音で。
思考がうまく働かなくなる音で。
「……っ…ぁ…」
「ハクちゃん…っ…!?」
流れてくる。次から次へと、あの日のあの時の光景が。フラッシュバックする。
『きゃああぁぁぁあああぁぁ!!!!!!』
『逃げろぉー!!!まだ間に合っ…』
『た、すけ……て…』
『ごほっ…はぁ、ぐ、………』
『やめろ!!押すなっ…!!』
『私はまだ死にたくなっ…きゃあぁぁ!!!』
『消防車…!!!消防車はまだかっ!?』
『逃げろー!!火が燃え広がっている!!!』
『う、嘘だろ……』
『うわぁぁ!!また爆発したぞっ…!!』
『ダメだ!!敷地内は全部爆発してる!!!』
『いやぁぁああぁぁあっっ』
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