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本当に、イライラする。
どいつもこいつも、何でみんなこいつなんだ。女なんてそこら辺にいくらでもいるじゃねぇか。玖珂白桜じゃなくてもいーじゃねぇか。
何で俺がこんなことでイライラしなきゃなんねぇんだ。ふざけんな。
「…おい」
3人の男たちの後ろに立ち、滅多に出さないような殺気を含んだ声を出す。全員、俺よりは低い身長でも玖珂白桜から見れば大きいだろう。
両手を強く握り締め、肩を縮こませている玖珂白桜が目に入り、さらにイライラは加速していく。
「てめぇら、そこをどけ」
「え、えっと…」
「いいからどけ。そして消えろ」
193㎝もある俺の身長は、たぶんバスケ部にいる2mに近い奴に次いで校内で2番目に大きいと聞いた。聞いた、と言うのは別に自分で調べるほど興味もない話だから。
だが実際、見下ろされるなんて経験はほとんどなく、大体の奴は上から睨み付けるように見ているらしい。らしい、と言うのは自分では睨み付けているつもりはないが、他人からはそう見えるみたいだ。
「聞こえなかったか??とっとと失せろクズ共が」
今回は意識して、と言うか自然と人を殺せるくらいの目付きで吐き出すように言ってやった。俺の殺気に簡単に震え上がった所詮チキンの1年たちは逃げるように去っていった。
加えて、ただ見ていただけの野次馬共にもひと睨みしてから、元から大きな目をさらに大きくさせて驚いている玖珂白桜を見下ろした。
「……」
「…あ、ありがと…ございました…っ」
ぺこり、と効果音が聞こえてきそうなくらいに身体を折って頭を下げた玖珂白桜。何とも言えずに、そっぽを向く。
下げていた頭を上げた玖珂白桜は、嬉しそうな、だけど困惑しているような表情をしていて。
その表情が、さっき響也との現場を見た後のことから来ているものだと分かった瞬間、再び俺の眉間にシワが寄った。
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