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体育祭の競技・種目が全て終わり、興奮が冷めぬまま片付けをする生徒の中から抜け出し、オレは一目散に保健室へと足を運んだ。 テンテンやカズくんは間違いなく保健室に来ようとしているから、2人には悪いけど2人が来る前に学校を出たい。誰かと接触することで、ハクちゃんの口が固くなってしまわないように。 まだひっそりとしている校舎内を突き進み、廊下の一番奥にある保健室の扉をノックした。内側から鍵を必ずかけるように言っておいたから、ハクちゃんに開けてもらわなければ中に入れない。 もしかしたら寝てるかもしれないけど、その時は保健室の先生に鍵を貸してもらえばいい。しばらく待ってみても返事がないから寝てるのかな、と思い踵を返そうとした時、僅かな人の声が鼓膜に触れ反射的に止まる足。 やっぱり中にいるのかともう一度白い扉と向き合い、今度は強めにノックを3回したところで。ガタンッ、と明らかな物音が扉の向こう側から聞こえてきた。 「ハクちゃん…っ!?ハクちゃん、いるの!?」 まさか何かあったんじゃ、と冷や汗が握る拳の中でじわりと広がる。今の音はハクちゃんがベッドから落ちた音なんじゃないかと顔面から血の気が引いていく。またハクちゃんが倒れた場面など見てしまったら、オレは絶対に気が動転しそうだ。想像しただけでも身震いする。 やっぱり先生から鍵を借りてこようと一応扉の取っ手に手をかけて左から右へとスライドさせようとした。 鍵がかかっているから当たり前のように開かないだろうと思っていたが、それは見事に裏切られ強く叩いていた白い扉は呆気なく開いた。 何で鍵が開いているのか、それも今は気にならないほどにオレは素早く中に入る。保健室特有の匂いの中を突っ切ってハクちゃんが寝ているはずのベッドを隠しているカーテンを、思いきり引っ張った。 .
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