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「ちょーっとー!!うちのこと、忘れてんじゃねーよひびやーん!!ってか何の話してんのか、ちょーイミフなんすけど」
そんな中、この空気に亀裂を入れたハスキーな声に今は心底お礼を言いたくなった。逆に響也さんは盛大に顔を顰めて舌打ちをする。
それでも捕まれている腕は解放されず、私はその場から一歩も動けずにいた。
「…アリサ、いい加減にしてくれ。早く帰れっつってんだろ」
「だって帰りたくないんだもーんっ!!ちゅーか、はくらんと話してみたかったんだよねー。マジひびやん、でかしたわー」
「もうお前ホント黙れよ。うざい。帰れ。消えろ」
「えー!?そこまで言わなくてもよくねぇ!?マジ激おこなんすけどっ」
「……はぁ」
全く前に進まないやり取りに、珍しく響也さんが主導権を奪われ、溢さずにはいられなかったように吐き出された今日何度目かのため息。
常に笑顔を崩さずに優勢を築き上げていた響也さん。代名詞とも言われる緩い話し方も今はすっかり成りを潜め、叶貴さんのようなツンとした刺を含ませている。
響也さんをこんな風にしてしまう「ありさ」さんとは一体何者なんだろう。ここまでズバズバと言い合える関係と言ったら、恋人にしか思えない。
「あっ!!!そーいや、まだうちの自己紹介してなかったわっ。うちは加藤ありさ!!これでもひびやんの従兄弟なんだよねー」
「い、とこ…?」
「そーそー!!ちなみに同い年で同じ高校に通ってんだけどさっ。うち1組だから一番離れてんじゃん??だからー、なっかなかはくらんにも会えなかったんだわー」
「学年ビリの頭してるから毎日補修とか生徒指導があるせいだろ」
「えーなにー!?ぜーんぜんっ、聞こえましぇーん!!」
……従兄弟。私と聖瑛さん、唯弥くんもたぶん関係的には従兄弟のはず。でも従兄弟でだって結婚は出来るみたいだし、2人が恋人じゃない可能性は拭いきれない。
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