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城戸和遥side
その報告は、突然だった。
「みんなに報告~。オレとハクちゃん、付き合うことになったんだぁ~」
それはもう、今までに見たなかで一番緩みきったでろでろの笑顔でそう告げた、響也くん。隣で恥ずかしそうに頬を染める玖珂白桜さんは切なくなるほど、綺麗だった。
体育祭も終わり、残る大きな行事は受験と卒業式だけになった11月半ばのこと。今日も今までと同じように響也くん、叶貴くん、天磨くんと昼食をとっていた。
玖珂白桜さんは女友達と昼食をとるのが当たり前となっていたけど、今日は違った。突然、響也くんと玖珂白桜さんが手を繋いで自分達の前に立ったと思ったら、冒頭のセリフが飛び出したのだ。
「……ぇ、ええぇぇええぇ!?」
言葉の意味は理解していたが、すぐに何の反応も出来ずにピシャリと固まっていた自分とは対照的に、天磨くんは大きく目と口を開いて絶叫し、自分達がいる空き教室を震わせた。
あまりの大声に叶貴くんからすぐに拳骨を頭にくらって涙目になっている。痛さからなのか、ショックからなのか、自分には判断はつかない。
逆に叶貴さんは何を考えているのか分からない表情で、ただがむしゃらにトンカツサンドを頬張っている。もうこれで、3個目になると言うのに、余裕そうだ。
「…で、何が言いたいわけ?」
「別に~。一応、トッキーたちには報告しとかないとまずいかなぁと思ってさ~」
「俺は別にどうでもいいわ」
相変わらずクールだなぁ、同じ男なのに自分とは大違いだ。強くて冷静でカッコいい叶貴くんは、自分の憧れだ。
自分も何か言わなきゃと考えて慌てて出した言葉は「お、おおおめでと、とうごご、ござ、います…っ」なんて、いつも以上に吃ってしまい、カッコ悪いものになってしまった。
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