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そう思ってしまったら、次に浮かんだ感情はどす黒い塊のようなもので。ぐ、と唇を噛んで俯いていた顔を上げた。
どうして、自分じゃない?
どうして、響也くんなの?
どうして、自分のものじゃない?
どうして、響也くんのものに?
嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
絶対に、嫌だ。
彼女の笑顔を自分だけのものにしたい。誰かにとられるなんて、誰かのものになるなんて、許さない。例え相手が友達だったとしても、だ。
もう既に響也くんのものになってしまったというならば、奪えばいい。でもどうやって??自分は女の子に免疫などなかった、恋愛初心者。比べて響也くんは外見も中身もカッコよくて優しい。
どうやったら勝てるだろうか。どうやったら響也くんより自分を見てもらえるようになるんだろうか。
例え方法が見つかったとしても、自分はそれを行動に移すことが出来るのだろうか。いざやろうと思ったら、引っ込み思案で弱気な自分は尻込みしてしまうかもしれない。
思うだけなら自分にだって出来るが、実行する勇気が自分にはあってもないようなものだ。実行したとしても成功する可能性も限りなく低い。
どうしたら、こんな性格の自分が彼女を振り向かせられるだろうか。こんな性格の自分が――――……そうか。そうだ。
“この性格”を利用すればいいんだ。
自分は演技なんて大それたことも出来ないし、人を傷付けることも出来そうにない。だったら、自分が傷付けばいい。
それを餌に優しい彼女を振り向かせるんだ。玖珂白桜さんならきっと、見てみぬフリは出来ない。だって、彼女と自分は、似ている。
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