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エアコンの電源を入れてお互いに1つの机を挟む形で座る。どさりと置かれたビニール袋の中にはパンやおにぎりなど、さまざな種類が詰め込まれていた。 私は小さなお弁当箱の包みを開けてお箸を取り出す。ディオンは適当にパンの袋を1つ取り、豪快に開けるとこれまた豪快に口を大きく開けてかぶり付く。一口で3分の1くらいは既にディオンの口の中。 『お、セラフィーナの弁当上手そうだなー。……まさか、自分で作ってねーよな?』 『うん、料理はしたことないもの。これは、今一緒に住んでる人が作ってくれてる』 『……一緒に住んでるって、誰と住んでるんだ?親戚に引き取られたんだよな?』 『私の話は後。まずはディオンからよ。ディオン、あなたどうして日本に?まだ出所出来ないはずじゃ…』 『それが、保釈金が支払われたとかで今年の夏に釈放されたんだ。でも誰が保釈金を払ったのか、全く分からなかったんだぜ。ホント、不思議なこともあるもんだよな』 『……そう。それで??』 ――――保釈金。いくらくらいの保釈金をどこの誰が払ってくれたんだろう。ディオンにすら知られていないなんて、そんなことあり得るのだろうか。 元々ディオンは深く考えずに思ったら即行動、分からないことは仕方がない、そう自己完結するタイプだからさほど気にしていないようだ。いや、本来ならば気にしなくちゃいけないことだと思うんだけど。 『で、出所するときに警察に白い封筒に入った手紙を貰ったんだ。中に入っていたのは手紙の他に、セラフィーナの写真が同封されていた。この学校の制服を着た、無表情のセラフィーナの写真が』 『えっ……』 『俺は出所したら絶対にセラフィーナに会う。そのことしか考えてなかったんだ。…親や兄弟たちには絶縁されたし、身を寄せるところも無かったのにそんなことは少しも考えてなかった』 『もうディオンったら……相変わらずね』 少しからかうように言ってみたけれど、内心では胸が痛んで仕方がなかった。ディオンが家族と絶縁してしまったのは、ほとんど私のせいだから。 .
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