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私の本名は、セラフィーナ・白桜・アーネル。 ベルギー人の祖母とアメリカ人の祖父から生まれた父親。日本人の祖母とロシア人の祖父から生まれた母親との間にアメリカで生まれたのが私。 父方の祖父と祖母は私が小さいときに亡くなっているから、記憶はほとんどない。 母方の祖父と祖母は母親が高校生のときに離婚。祖父は亡くなったらしく、祖母は今も病で寝たきりだと思う。思う、って言うのは最後に聞いた話がそうだから、日本に来てからの祖母の様子は何も知らない。 結論から言うと、父親も母親も亡くなった。2年前の、今日に。 父親は大学の教授で、母親は大学付属高校の教師をしていた。広い敷地の中に大学と高校が合わさっていて、ほぼエスカレート式であり世界でも有名なエリート校だった。 父親はハリウッドスターによく間違えられるほどに素敵な容姿をしていたけれど、性格は母親がいなければプライベートのことは何も出来ないような頼りない父親だった。けれど、とても明るく面白かった。 母親はふんわりとした優しげな雰囲気なのに、口から出る言葉は乱暴で毒舌。外見詐欺鬼教師と生徒から呼ばれるほどに厳しく、怖かった。けれど、とても温かくて強かった。 そして2年前の今日、その大学と高校はテロリストによって大規模な爆発を起こされ、生徒・教師・教授などその時大学や高校にいた人のほとんどが命を落としたことは世界でも大々的にニュースとして取り上げられたと思う。 私はその大学と高校にも繋がっている大学院で研究者として日々を過ごしていた。 中学1年生のときに飛び級で高校に入学。2年間で高校・大学を卒業し、16歳で既に大学院の研究者として認められていた。 主に医学・生物学系の研究をし、新しい病気の発見やそれに伴った治療法、薬の開発などやることはたくさんあり、目まぐるしく過ぎていった日々。自分の研究が誰かの役に立つと思えば、何でも頑張れた。 そんな研究者としての生活に、1年も経たずに終止符を打つことになるとは想像もしていなかったけれど。 .
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