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20XX年11月24日―アメリカ― ラッシュ時の駅のホームのように学生がひしめくキャンパス。就業の鈴が鳴り亙り、生徒達の廊下を歩く騒がしい音と声が響く高等部。居眠りする生徒へ教師が怒声を浴びせる中等部。 広大な敷地にそびえ立つ、世界的にも有名な私立エリート校は、それぞれの日常をその日も変わらずに、だけど二度とない1日を過ごしていた。 《AM11:53》 『セラフィーナ!!』 『あ、ディオン!!!』 『今から飯か?一緒に食おうぜ』 『うん、もちろん。今日は何を食べようかなぁ。サンドイッチがいいかも』 『俺はやっぱステーキだな。セラフィーナもたまには肉食え肉!!細っこいんだし、研究にだって体力は必須だろ?』 『うーん、そうなんだけどね。お肉は重くて食べきれないんだもの』 『んじゃ、俺の肉少しやるから食べられる分だけ食えよ』 『ありがとうディオン。なら、私のサンドイッチもあげるからね』 『おう。…あ?今日はロイスいねぇのか?いつもしつこいくらいにセラフィーナの側にいるくせに、珍しいな』 『んー…なんか、今日はとても大事な実験をするからご飯は後でいいって言ってたの』 『ふーん。ま、俺はあいついねぇ方が精々するからいいけどな』 『またそんなこと言って。いつも顔を合わせれば口喧嘩するけど、案外仲いいよね、ロイスとディオン。羨ましいなぁ』 『はぁ!?ふ、ふざけんなよ!!誰があんなやつと!!!生意気だし上から目線だしナルシストだし、マジ無理。よくあんなのと幼馴染みやってこれたな』 『ロイスは言葉では素直じゃないけど本当はとってもいい人なのよ?それに実験や開発には熱心だし、成功するとすごく嬉しそうに笑うの。たまに過保護すぎるけど、私を妹のように可愛がってくれてるから大好きよ』 『……そ。俺にはさっぱりだ』 『ふふっ。何でそんな不貞腐れた子供みたいな顔してるの?あ、もしかして…ロイスだけ誉められたから気にくわないとか?』 『ばっ…!!ち、ちげぇよ!!』 『そんな否定しなくても分かってるわよ。もちろん、ディオンのこともロイスと同じくらい好き。大好きよ』 『……ッ』 『あ、赤くなった』 『るっせ!!』 .
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