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『セラフィーナッ…どうし、』 『ショックで気絶しているだけだから、耳元で大声出すなよ能なし』 『は、ハアァ?…てんめぇ、よくこんな状況になってもそんな冷静で軽口叩けんな!!!』 『こう言うときに一番の武器は冷静だってことを知らないお前はだから能なしなんだよ』 『ぐっ…』 ロイスの言葉に喉を詰まらせるディオンは、悔しそうに拳を握る。フッと鼻で笑ったロイスは、白桜をいとも簡単に抱きかかえながら立ち上がった。 踵を返して歩き始めたロイスにディオンも慌てて後を追う。どこに行くのか、なんて聞いてもどうせ答えてもらいないだろうと思い、ディオンは無言を貫いた。 方向的に考えれば、ここから一番近い非常階段へと向かっている。爆発が起こった高等部と大学から遠ざかっていくが、いつこの大学院も爆発するか分かったものじゃない。ディオンは、心臓を激しく脈打たせながら全身に汗をかいていた。 しばらく歩いて、もう少しで非常階段だと言うとき、またしても大きな爆発音が響いた。さっきまで耳にしていた爆発音とは響き方が全く違う、つまり、大学院の中で爆発が起こったのだとディオンはすぐに分かった。 『お、おいロイス…』 『……』 『おい!!何とか言えよ…ッ!!!』 『ここら辺でいいかな』 『は?』 爆発音にピクリとも反応を示さないロイスを気味悪く思いながらも現在、ディオンが頼れるのは認めたくはないものの、ロイスしかいない。 呼びかけにも応答しないロイスに心細くなったディオンは、半ば八つ当たりのように大声を上げたが、ロイスはぼそっと何かを呟いたと思えばその場でピタリと足を止めた。 そしてディオンに向けていた背中をくるりと回転させ、対面する。振り返ったロイスの顔を見て、ディオンは野生の勘で何となく分ってしまった。 この爆発を起こしているのは、目の前で歪な笑顔を向けるコイツなのだ、と。 .
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