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微かに地面も揺れた。着実にこちらへと爆発が近付いているのをディオンは感じたが、ここは絶対に爆発させないことくらいは勉強が苦手な自分でも分かる。 だってここに、ロイスの愛してやまない白桜がいるのだから。 そこでディオンはハッとした。ロイスがこんなに大規模な爆発を起こし、何の罪もない人間を殺している理由が、何となく分かってしまった。 『……セラフィーナ』 『ふっ、ハハハハハッ!!やーっと能なしのお前にも分かった?そうだよ、この僕が白桜以外のためにわざわざこんなめんどくさいことするはずがないでしょ』 『セラフィーナが知ったらどんな気持ちになるか、そんなこともテメェには分かんねーのかよ!?』 『ハクラが知ることはないよ。だって、ここで今からお前を消せばこの爆発を起こしたのが僕だって誰も知らないんだから』 『そんなの…ッ、ポリスが調べればすぐに分かる!!!お前は刑務所に行き、残されたセラフィーナは1人になるだろうが!!そんなのゼッテェに許さねー!!』 『はっ!!…本当にお前は能なしだな。この僕が、天才と言われ生きた神と呼ばれる僕が、ポリスに証拠を残すようなヘマをするはずがない。この爆発により数千人の遺体が誰なのか判別すら出来ない。だから僕はハクラと共にこれから誰もいない2人きりの世界に行くのさ』 『っんだよそれ…!!!狂ってる…ッ…テメェは狂ってるぜロイス……!!』 『黙れ!!!!!』 それまで悠々と余裕の笑みを浮かべていたロイスに初めて怒気が滲んだ。そして、白衣の胸元の中に手を入れ、取り出したものは―――――……。 『……っ!!?』 『何、まさかここにはハクラがいるから爆発は起こせない。だから死なないとでも思った?僕が爆弾のスイッチだけを持ってるはずがないでしょ』 ディオンの視線へ一直線、真っ直ぐに向けられているのは……銃口。引き金を引けばすぐにでも死へと近付けさせる銃は、アメリカで持っていない人間の方が圧倒的に少ない。 しかしディオンは銃が嫌いだった。何故なら、白桜が怯え、怖がるからだ。ロイスも白桜には銃は絶対に持たないと言っていたのに。 .
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