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ハクちゃんを見つめるトッキーの眼差しはとても熱くて。恋をしている乙女のようだと苦笑しながら思った。 いや……もしかしたら、本当に恋をしているのかもしれない。だとしたら…オレとしては少し厄介だ。何て言ったってオレは。 ハクちゃんこと玖珂白桜が、好きだから。 去年の11月、オレがいた2年6組に突然現れたプラチナブロンドの髪を揺らす美少女。 生きた人形なんじゃないかと本気で思ってしまうほど、その容姿は二次元のようで。一瞬で心を奪われた。 でもオレは一目惚れと言うものを信じていない。外見チャラ男のオレだけど、恋愛に関しては臆病だ。 うちの高校の女子は人数が少ないこともあって、派手な子はほとんどいない。清楚ギャルや体育会系女子がちょっと目立つくらいで。 それもほとんどが文系クラスにいるから、理系のオレとは接点がない。クラスの女子は真面目で控えめな子ばかり。話をしたことがない子も数人いるくらいだ。 そんなところにやって来た美少女なのだから、注目されないわけがない。 オレも外見で人は判断出来ないと分かっているけど、気付くとついつい目で追っている。 転校して来てから数日が経っても、ハクちゃんが誰かと話している姿を見たことがなかった。 隣の席の男子が一生懸命話しかけていたけれど、ハクちゃんはずっと机に突っ伏したまま反応しなくて。 大人しそうな女子たちが仲良くなろうと近寄ってみても、全く相手にしない。 常に眠そうで。疲れているみたいで。そのうち誰も近付かなくなり、遠くからそのフランス人形のような美少女を眺めては、勝手に噂を作るようになった。 漠然と疑問を持った。誰とも話さないのは“話さない”からじゃないのかって。 外国人の血が絶対に入っているだろう容姿だし、日本語が分からないんじゃないかって。……名前は日本人だけど。 .
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