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和遥さんの手の中には何故か、茶封筒。分厚くて何が入っているのか一目で分かるくらいにそれは明らかだった。 「おら、寄こせ」 リーダーらしき人が和遥さんの前に手を差し出す。身体を震わせながら和遥さんはその人の手に茶封筒を乗せた。どくどく、と私の心臓が嫌な音を立てる。 何か危ないことをしているのかもしれない。和遥さんはそれに巻き込まれてしまったのかもしれない。そう考えると和遥さんを助けなきゃという気持ちが膨れ上がってくる。 「…まーいいだろ。今日のところはこれでな。次もまた頼むぜー」 茶封筒の中身を確認したリーダーらしき人は満足したのか、踵を返した。それに続いて周りにいた男の人たちも遠ざかっていく。 和遥さんはぺたりと膝から崩れるように、地面に座り込んでしまった。迷わずに和遥さんの元へと走り寄る。 「和遥さん…!!」 「…っ!?は、白桜さん…」 名前を呼んで和遥さんの前に目線を合わせるようにして座り込む。私の姿を見た和遥さんはひどく動揺していて、視線を泳がせていた。 「どど、どうして…」 「和遥さんが体育館に行かずに様子もおかしかったから後を付いてきたら……勝手にすみません。でも、さっきの方たちは…?お友達のようには見えなかったですけど…」 「……あああの、こっ、このことは…誰にも言わないで、もも、もらえます…か??」 そう言って向けられた瞳は本当に不安そうにゆらゆらと揺れていて、私は反射的に首を縦に振る。 すると、ほっとしたように一息ついた和遥さんはまたすぐに表情を強張らせた。 「じ、実は…きょ、恐喝を…」 「キョウカツってお金を脅して取る、ってことでした…??」 「そそそう、です」 「そんな…っ!!じゃぁ、さっきの茶封筒の中身はやっぱりお金だったんですね?」 もしかしたら私の勘違いかもしれないという願いは、こくんと頷いた和遥さんによって簡単に破れる。 情けないですよね…と力なく笑った和遥さんが痛々しくて、思わず頼りなさげな身体を包み込んだ。 .
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