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結局、終業式には間に合わず2人してサボろうと意見は一致して、いろんな話をした。くだらない話から、自分の性格の悩みの話まで。 お互いに共感できる部分がたくさんあったから、終業式が終わって体育館から生徒たちがぞろぞろと出てくるまで時間を忘れていた。 私がいないことに気付いていた響也さんも終業式を抜け出して私を探していてくれたらしいけれど、和遥さんと一緒にいる場所を見つけられたのは私たちも教室に戻ろうとしていたときだった。 泣きそうな顔で表情を歪めた響也さんにきつく抱きしめられ、キスをされ、和遥さんがいるのにと思いながらやんわりと拒んで、ちょっと不貞腐れている響也さんと肩を並べて歩く。 その後ろを、和遥さんは困ったように笑いながら、でもしっかりとついてきていた。 冬休みに入る前の最後の学校。浮足立った声や行動が目立つ生徒も多い中、私はさっきの和遥さんのことがあったから素直に喜べなかった。 学校がないということは、あの不良の人たちと会う機会もなくなるとは思うけれど街中で会う可能性は十分にある。 その時、和遥さんはまた1人で苦しんで抱え込んでしまうんだろうか。そう考えると、何かいい方法はないかとそれだけで頭がいっぱいになってしまう。 「ハークちゃん?」 「…っ、はぃ」 「何を考えてたの~??そんな悲しそうな顔をしてさぁ、オレに言えないこと~?」 「い、いえっ!!冬休みに入るのが…みなさんと少しの間会えなくなると思ったら…ちょっとだけ、寂しくて」 「えぇ~、オレとは常に一緒にいられるじゃん。オレだけじゃ、不満~?」 「そんなことはないですっ」 「うん、だよねぇ」 帰りのSHRが始まる前、私の表情をよく見ている響也さんに咄嗟に嘘をついてしまった。和遥さんと誰にも言わないという約束をしたから、その約束を破るわけにはいかない。 .
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