11

15/16
前へ
/275ページ
次へ
城戸和遙side 全てが上手く行った。自分の計画通りだった。麗しい白金の少女は、自分のものになったのだ。自分が怪我をして入院している間、貴重な冬休みだと言うのに白桜さんは毎日、病院に通ってくれた。 頭を4針縫い、全身打撲、左足首の骨折という大怪我をおった自分。あれから2週間が過ぎ、お正月だって白桜さんと病院の中で過ごした。 今は外傷がほぼ治り、骨折した左足首のリハビリに付き合ってくれている。学校は既に始まっているが、まだ完治に至らない自分は退院出来ない。白桜さんは学校が終わるとすぐに病院に来てくれて、それからリハビリをする。 彼女がいない内にリハビリして早く治ってしまっては、ここまでした意味がない。何のために金を積んで不良にわざと殴られたんだ。全ては彼女自ら、城戸和遙の側にいることを選んでもらうためだ。 「和遙さん、今日のご気分はいかがですか?」 「き、きき今日は、す…少し、くく薬が強くて…」 「そうなんですね…私に何か出来ることはありませんか…??」 「あっあの、ままま前、みたいに…手、を…」 「こんなことだけで本当にいいんでしょうか」 「とと、とても…お、落ち着きますっ」 「それなら…よかったです」 ふわり、そんな効果音が聞こえてきそうな笑みを自分に向けてくれる。広い病室に2人きり。それもそうだ、この病院は父が経営している病院で自分は特別なのだから。 息子が運ばれてきたことに驚いていた父と母は、すぐに警察に被害届を出した。白桜さんと自分の証言ですぐに不良たちは捕まった。もちろん、自分から頼まれてやったと何度も主張していたが。 両親や学校の教師などがそんなことをするような子ではないという主張、そして何より自分が真っ向から否定をしたことにより、呆気なく不良たちは刑務所行きだ。渡した金(警察はカツアゲで得た金だと思っている)は、ほぼ返ってきた。 そして自分が脅されていたことを唯一知っていながら、何も出来なかったことに後悔している白桜さんは、自分の側で献身的にサポートしてくれているのだ。 .
/275ページ

最初のコメントを投稿しよう!

469人が本棚に入れています
本棚に追加