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放課後になると教室の中は、蜂の巣をつついたような騒音に満たされていた。まだ大会が残ってる部活に行く生徒を羨ましく思いながら、オレも席を立つ。 トッキーは無言でさっさと教室を出ていった。この雨の中自転車を漕ぐのがめんどくさいんだろう。 チラッと窓際の奥の席を見る。スカートから伸びる白くて細い人形のような脚の持ち主は、雨だけが見えるつまらない光景をボーッと見つめていた。 どうやらハクちゃんは教室に誰もいなくなってからじゃないと外に出ないらしい。まぁ、まだ廊下もうるさい今、教室の外に出れば好奇の目で注目されることは分かりすぎてるけど。 オレも人が少なくなった頃にようやく教室を出て化学準備室に足を向けた。でも中には入らない。化学準備室の近くにある男子トイレの影に隠れる。 もし先にオレが中にいてハクちゃんが入って来たら、ビックリして逃げちゃうかもしれないし。ハクちゃんが中に入ってドアを閉めたのを確認してから、オレも入る。 それからのことを頭の中でシミュレーションしながら、全身が心臓になったような緊張を解くために、深呼吸を何度もした。 待ち続けて10分が過ぎた頃、化学準備室の前にプラチナブロンドの髪を持つ少女が立っていた。 人が居ないことを確認してるのか、キョロキョロと辺りを見た後、化学準備室へノックをせずに入って行った。 しっかりドアが閉まったのを確認したオレは、いよいよだと気持ちに気合いを入れて胸元のYシャツを掴む。最後にまた大きく深呼吸した後。 化学準備室のドアの取っ手に、手をかけた。 震える手に力を込め、ゆっくりとドアの取っ手を左にスライドさせる。 ガラガラッと思った以上に大きな音が響き、開けた本人のオレがビックリしてしまった。 そんな中、恐る恐る前に視線を向けると。 .
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