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「……っ…」 ハクちゃんの短く息を吸い込む音が、聞こえた。 そしてそれは……肯定の、意味。 オレの心臓が大きく波打つ。余命宣告されたようなショックと、内蔵を内側から噛まれるような激しい苛立ちでどうにかなりそうだ。 どうして。 どうして。 どうして。 「……ハクちゃんとスメラギは、どういう関係なの」 重く、引きずるような声。自分でも思ったより低い声が出たことに、相当キテいるなと実感する。 一歩前に進む。ハクちゃんも一歩後ろに下がる。また一歩前に進む。ハクちゃんもまた一歩後ろに下がる。 そんなことを続けていても必ず後ろに壁はあるんだから、終わりが来るのは当たり前で。 トンッとハクちゃんの背中が壁に当たる。オレは立ち止まって、手を伸ばせば届く位置にいるハクちゃんを見下ろした。 オレを見上げるハクちゃんのグレーの瞳は怯えているのか、大きく揺れていて。身体も見て明らかに分かるほど、震えている。 怖がっている。こんなことがしたかったんじゃない、のに。怖がらせている。それほどに今のオレの顔は怒りと嫉妬で満ちているってことだ。 「ハクちゃんとスメラギの関係を教えてくれれば…誰にも言わないよ??」 ……なんてオレはバカなんだ。 これでは単なる脅しだ。駆け引きでも何でもないじゃないか。余計にハクちゃんを怖がらせるだけじゃないか。 それでも、こうでもしないと今のオレは、目の前にいる可愛くて可愛くて仕方がない少女を襲ってしまう。 まだ僅かに残るオレの理性が、脅しとなっている。それだけなんだ。 「ねぇ……教えて??」 「…っ…」 ニッコリと微笑んだつもりだけど、たぶん上手く笑えていなかったんだろう。ハクちゃんが肩に力を入れて唇を強く噛む。 ――――そうか、この子はこんなに全身で怯えるくらい、繊細だったんだ。 .
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