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夏休みに入る1週間前になっても梅雨明けはせず、紫陽花たちもまだ元気に咲いている。 1学期の期末考査を終えたばかりの校内は、やけに浮き足立っていた。 そしてその理由は、期末考査のせいだけではない。 「なぁなぁなぁ!!やっぱり姫、今日も起きて授業受けてるぜ!?さっき見てきた!!」 「そ、そそうなんだっ…どう、したんだろうねっ」 「だよなだよなー!!でもたまに眠くなるらしくて、首がコテンッてなるんだってよ!!!ちょー可愛くね!?マジで見てぇ!!!」 「天磨くん、おお落ち着いてっ」 「くぁー!!ときとひびやの2人が羨ましすぎるぜっ」 2時限目と3時限目の間の休み時間。席が前と後ろと近く、天磨くんはイスを反対向きにして座っている。 元気で明るい天磨くんのテンションにはたまに付いていけなくなるときがあるけど、話してて一番緊張しない友達だ。 玖珂白桜さんが授業を寝ずにきちんと受けるようになったのは、つい先週のこと。 突然のことに玖珂白桜さんのクラスは授業に身に入らない生徒が続出したらしく、それはすぐに校内中に噂ではなく情報として広がった。 期末考査が近いから、とその原因は囁かれていたけど今日、期末考査が終わったばかりの授業もしっかり受けていたと言うことは。 これからも、授業を真面目に聞くということかもしれない。 「でさっ、姫に話しかけた奴がいたらしい!!そしたら話しはしなかったけど笑って頷いたんだってよ!?ちょー羨ましい!!!」 「…す、すすすごい、ねっ。でっでも、どどどうしていきなり……」 「さぁ??……あっ!!そういやこの前、なーんかひびやが意味分かんねぇこと言ってたな」 何だろう、と天磨くんの続きの言葉を待った。 .
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