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午後の光が徐々に薄らぎ、夕暮れの気配が教室中に漂った。
自分と天磨くんが隣のクラスの前に来ると、まだHRが終わっていなかった。ドアの窓から中を見てみると。
「おっ、ときが俺たちに気付いた!!あっ!!!姫が起きて前向いてるっ。可愛い!!!」
「て、天磨くんっ!!ししし静かに…っ」
「へーいっ」
自分たちの姿…と言うか、たぶん叶貴くんは天磨くんの姿を見て、顔を歪めた。響也くんの席は廊下側だからここからは見えない。
そして天磨くんが興奮した原因の玖珂白桜さんは本当に目を開いてしっかりHRに参加していた。
「やっと終わったみたいだぜっ」
教室の扉が前も後ろも開き、担任の皇先生が出て行った後から生徒が飛び出してくる。
ほとんどの部活が県大会も終え、インターハイに出場する部活が少ないため塾や勉強をするんだろう。
それでも期末考査が終わったばかりだから、今日ばかりは遊びに行く人が多いんだろうけど。
「ときー!ひびやー!一緒に帰ろうぜっ」
「テンテン元気だねぇ。カズくんもやっほ~何か久しぶり~」
「どっどうも…っ」
「お前廊下から手振んの、キモいからやめろアホ」
「ええっ!?友情の大切な行為だろっ!!恥ずかしがんなってー」
「はぁ……とっとと帰るぞ」
天磨くんを相手にする気力もないのか、叶貴くんは最大なため息を吐いて、立ち上がる。
響也くんはチラチラ、と玖珂白桜さんの方を見ていたけれど……その視線に玖珂白桜さんが気付いたのか。
2人の視線が、重なった。
玖珂白桜さんが誰かと目を合わしているところですらまともに見たことがない自分は、響也くんになったみたいにドキドキとしてしまう。
そしてそのまま数秒、2人が見つめ合ったあと……玖珂白桜さんが、小さく。
微笑んだ。
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