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――――――え??
玖珂白桜さんと響也くんが……アイコンタクトを、している??
どうして…それに、何だか2人の雰囲気が周りから異様に浮いて見える。
天磨くんと叶貴くんはまた何か言い合っているみたいで気付いてないけど……自分は目の前の状況から目が離せなかった。
でも自分を驚かせたのは、それだけじゃなかった。
『また明日』
……響也くんの口が、音を出さずにそう動いたんだ。
それに対して玖珂白桜さんは、さらに笑みを深くして嬉しそうに頷く。響也くんは頬を赤く染めてすごく嬉しそうだった。
「ほら、とっとと行くぞ」
「ひびやーかずー帰るぞ!!ときが帰りにアイス奢ってくれるってー」
「あはは~マジでぇ??やったね~」
「ふざけんなよアホ天磨」
「いでっ……っておーい!かず!!」
まだ動けずにいた自分を天磨くんが大声で呼んだ。ハッと我に返って慌てて3人の後ろを追う。
後ろを振り返って玖珂白桜さんがどんな表情をしているのか気になったけど、それ以上に怖くて振り返ることが出来なかった。
3人よりも少し後ろを歩きながら、響也くんの斜め後ろからの横顔を見る。耳にはピアスがたくさん着いていて、緩い制服の着こなし。
極めつけのヘラヘラとした笑顔としゃべり方はまさに自分とは正反対のチャラ男そのもので。
だけど見た目に反して中身は以外と頭が良くて女性関係の話もほとんどない。漫画とコーラが好きなただの高校生。
同じクラスだからと言って玖珂白桜さんと微笑み合う仲になれたのは、どうしてなんだろう。
無意識に睨むようにして響也くんを見ていたことに気付かなかった自分は、ただただこの黒い感情の正体を探していた。
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