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カッパを着て荷物はカゴへ、傘はハンドルと一緒に握りチャリを猛スピードで走らせる。ここからその公園はチャリでぶっ飛ばせば5分の距離だ。 顔に雨粒が当たって痛いけれど、そんなことはどうでもいいくらい、俺は無我夢中でチャリをこいだ。 公園が近くなると、公園の入り口付近に黒い傘を差した人がいた。 「しりゅー!!」 「おう、天。早かったなー」 「姫は!?」 「ほら、あそこ」 チャリをしりゅーの前で急ブレーキをかけてその場に止める。しりゅーが指差した方向を見てみると、本当にドラム管の穴の横に膝を抱えて座っている姫がいた。 初めて見たときにはその色に見惚れた姫の長くて綺麗な髪は雨に濡れていつもより長く見える。毛先が地面についちゃうんじゃないかと思うほどだ。 そんな姫は俺たちには全く気付いていない。とりあえず俺は、チャリのカゴの中に入れていた鞄と傘を持って公園の中に入る。 「お前、お姫様と話したことあんのか??」 「うっ…ない、けどっ!!こんなところに放っておけるわけねぇだろ!?拒否られてもとりあえずタオルと傘だけは渡さねぇと!!!風邪でも引いたら大変だろっ」 「まー確かに。俺もお姫様を間近で見てみたかったし一石二鳥か」 「ぶつぶつ言ってねーで早く行くぞ!!」 中学時代の野球部仲間で今は同じ市内の別の高校に通っている、宇賀神志龍(ウガジンシリュウ)も俺の後ろを着いてきた。 公園の地面はすべて砂だから、雨を吸い込んでいる今、泥沼のようで大きな水たまりがあちらこちらに出来ている。 上手く避けながらも靴は泥で汚れていく。でもなぜか、姫の靴は汚れていなかった。………って。 「ひ、姫!?何で裸足!?」 静かに声をかけるつもりが、近付くにつれてはっきりと見える姫の足元に声を上げずにはいられなかった。 .
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