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姫の小さな手がスプーンを持ち、カレーをご飯と一緒に掬う。姫の口ではこれが一口なのかと思うほど、スプーンに乗っている量は少なかった。
「ん……おい、しいっ」
「そっ、そうか!?よかったー!!!」
「やっぱ天の料理はうまいなー。勉強の才能が全部料理と野球に行っちゃったんだろうな」
「勉強なんか出来なくてもいーんですー!!料理は生きていく上で絶対必要だろっ」
「おっ、お前のラーメンも上手そうだなー。一口くれ」
「って話聞いてっか!?」
こうやってしりゅーはよく俺をからかう。そんなところも好きなんだけど。
「……ふ、ふふっ」
え――――――……??
「ひ、姫??」
「あ…ごめんなさい。お2人のやり取りが面白くて、つい……」
「え、あっあぁ!!ぜっ全然いいよ!!ってかもっと笑っちゃって!!!」
「ふふっ……」
姫が……姫が笑ってる!!!
初めて見る姫の笑顔。俺はもういつ死んでもいいと思えるくらい、貴重な笑顔。
それだけじゃない。姫の笑顔は本当に言葉では言い表せないほど、綺麗で可愛くて見惚れてしまう。
もっと、見たい。
もっと姫の笑顔が、見たい。
「姫っ!!!お、俺……これから毎日姫に弁当作ってもいいかっ!?」
「えっ…」
「だって姫、授業中は起きてるけど昼休みとかすぐに寝てるだろ!?だからお昼を食べてるところ、見たことねぇし…」
「おいおい、それマジ??お姫様は食欲よりも睡眠欲の方が強いわけね」
「あ、うっ…」
「ご飯はきちんと食べねぇとダメだ!!だからそんなに細いんだよ……折れちゃいそうで恐いしっ」
「は、はい……」
姫は本当に細すぎると思う。体重聞いたら失礼かなと思ったけど聞かずにはいられなかった。
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