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「つーか、もう7時回ってっけどお前んちの親は遅いのかー??親が帰ってくるまでにお姫様を家に帰した方がいいぞ。超絶美少女が突然現れたって腰抜けしそうだ」
「なっ何でだよ!!俺の…か、彼女、とか思われるかもしんねーだろっ」
「いやーそれはないな。だから余計に天とは接点が無さそうな美少女を見て驚くんだって」
「……くっ」
悔しいけど違うとは言い切れない。俺の親父は居酒屋だから昼間に仕込んで夜は日付が変わらないと帰ってこない。
母親は24時間営業スーパーのパート。今日は遅番だから帰ってくるのはたぶん11時すぎくらいだ。
「……それにしても、お姫様はどんな生活をしてんだろうな」
「あー…確かにっ。家の人とかお弁当も持たせないで大丈夫だと思ってんのかな??」
「金持ちのお嬢様とかっていう話も聞いたことあんだけどさー。今日初めて会って話してみたけど、ありゃたぶん違うわ」
どうしてだ、と聞こうとしたところでピンポーンと家のチャイムが鳴った。
誰だろうと思いながら玄関を開けてみると、そこには夕方家に帰ったばかりのかずだった。
「かずっ、どうしたんだ??」
「あ、ごっごめんね……あの、じじ実は、ポケットにい、いい入れておいたっ…塾生の手帳がなっなくなってて…」
「塾の手帳っ??どっかに落ちてっかも!!探そうぜっ」
「あ、ありがとうっ」
傘を畳んで玄関に入ってきたかずは、すぐにしりゅーの靴を見つけて首を傾げた。
「あっ今しりゅーと…」
「えっ……」
姫が来ていることをどう説明しようか考えていると、かずは俺の後ろを見つめたまま固まった。まさか、と俺も恐る恐る振り返ると。
「ひ、姫っ……!?」
お袋のパジャマ……つってもスタイルの違いがありすぎたみたいで、だぼだぼのTシャツだけを着た姫がリビングへと続く扉に手をかけていた。
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