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その仕草がどれだけ男の理性を刺激するか、このお姫様は分かっていないんだろうか。 間近で見てしまった天が顔を真っ赤にして今にも沸騰しそうなのもどうかと思うけど、基本的に感情に波がない俺ですら動悸がさっきからおかしい。 人と関わらないようにしていた方が男たちの心臓には優しいかもしれないと思いながら、フリーズしてる天を引っ張ってリビングに入った。 「お姫様、そのワンピースは濡れてるでしょー。きちんと乾くことはないと思うけど、とりあえず干しておくから貸してみ??」 「あっ…ありがとう、ございます」 リビングの窓のカーテンレールにぶら下がっていたハンガーを勝手に取って、お姫様のシフォンワンピースをかけて干した。 ふわり、と微笑んでお礼を言うお姫様。やっぱりどう見てもお金持ちのお嬢様という育ちをしていない。 さっきTシャツの中から見えてしまった白い肌に散らばる赤い痕も気になって、プライベートのことを聞こうか迷っていたとき。 探していた手帳が見つかったと、和がリビングに入ってきた。 「……よっ、よかったなかず!!!」 「うう、うんっ…ごめんねっ」 「いーっていーって!!」 しばらくお姫様を見たまま何かに葛藤していた天は、和の存在に気付いて面白いくらいに慌てていた。 俺以外、今の状況をまとめられる奴はいないからさもここが自分の家かのように全員にソファに座るように促した。 知りたくてうずうずしっぱなしの和に、ここにお姫様がいる理由を説明すると。 「あ……あのウサギ…」 ソファの隅でクッションに埋もれて眠っていたウサギを見て、和はお姫様を見ながら微笑んだ。 .
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