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気になったことをさりげなく聞いてみたらグレーの瞳を輝かせて満面の笑みで頷いたお姫様。天も和も言葉を失っていた。
「そ、うなんだー。俺も動物好きでさ、犬2匹と猫と他にもいろんな動物飼ってんだ。よかったら今度、うちに遊びに来なよ」
「え、いいんですかっ…わぁ、嬉しいです!!」
本当に今まで学校で誰とも話していなかったのかと疑ってしまうほど、お姫様は人懐っこい笑みで話に乗ってくる。
天も和も呆気にとられているし、信じられないという表情をしている。
「ねぇ、お姫様」
「はい…?」
「聞きたいことがあるんだけどさ、聞いてもいいかー??」
「な、んですか??」
聞きたいことは1つじゃないし、1つだけとは言っていないから気になっていることは全部聞いてみようか。
「最近は授業中もきちんと起きてるけど、会話はしてなかったんだろー?」
「え…あ、はい…」
「でも天の顔くらいは同じ学校だから知ってたのか?」
「そう、ですね」
「知っていたとしても話したこともなければ、学校の奴と話さないのにどうして今日は天の家にまで着いて来て、俺たちと会話までしてくれてんの??」
「……そ、れは」
「あの時俺たちを無視して逃げることも出来たはずだよな。ちょっと気になったんだわー」
学校で少しでも話したことがあるなら今の状況にそれほど疑問は持たなかったかもしれないけど、そうでないと言うんだからどうしても気になる。
今さら天は気付いたらしい。確かに、ともろ顔に出したままお姫様を見つめた。
「えと…その…っ」
そんなに答えずらいことだとは思えないのに、お姫様は視線をさ迷わせて口ごもる。急かすようなことはせずに、待ってみると。
お姫様は何かを決断した時のように表情を引き締めて、パッと顔を上げた。
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