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真剣な瞳で、震える手を膝の上で握り締めながら口を開こうとするお姫様は見て。あぁ、こんな顔もするんだな、と思った。 市内にある高校は4つ。たぶん全校でお姫様の噂は流れているはずだ。そしてその噂を耳にして俺は、きっと冷たくてつまらない人間なんだと思い込んでいた。 どんな美少女だろうが天才だろうが、心のない人間は俺からしたらつまらないとしか思えない。 それなのに、どうだ。今、俺の目の前にいる本当に人形のような美少女は。 好きなものには目を輝かせ、人にお礼も謝罪も言える。面白かったら笑うし、真剣な顔つきにもなる。 それは、心がきちんとあるということ。 俺が勘違いしていただけだった人間らしい心を持った人形のような顔のお姫様の口から出た答えは。 「天磨、さんが……響也さんの、お友達…だったからです」 「ひびや…!?」 天はお姫様の答えにソファから立ち上がって素っ頓狂な声を上げた。俺の知らない名前が出されてどう反応していいか分からない。 「えっ何でひびやなんだ!?」 「……本当は響也さんには誰にも言っちゃダメと言われてたんです、けど…そろそろ、響也さん以外の人とも話せないとって…」 「と、いい言うことはっ…く、玖珂白桜さんは、ひひ響也くんと…っ…はな、話したことが…あ、あるってこと、ででですかっ??」 「はい……。響也さんとは誰もいなくなった教室とか、周りに気付かれないように小声で会話したりとかしてて…」 「ええぇぇ!?まっマジで!?」 「わ、私…ちょっとした人間恐怖症、で……でも響也さんのおかげで改善しようと思うことが出来たんです。少しずつ、人と関われるようになろうって…」 ―――――――人間恐怖症。 どうしてそうなったのか、聞きたくて仕方がないけどよっぽどのことがなければ人間恐怖症にはならないと思うから、いつか話してくれると信じよう。 .
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