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玖珂聖瑛side
夕方、土砂降りだった雨はすっかりと止み、俺の髪と同じ色の空には無数の星が憎たらしいほどに輝いていた。
小娘に無言でヘルメットを渡し、バイクに跨がる。知らない奴のTシャツだけを着た小娘も、びくびくしながら俺の後ろに乗った。
「……きちんと掴まれ。振り落とされたいのか。俺の足でわざわざ来てやったんだ。その時間を無駄にする気か小娘ごときが」
「っ…すみま、せん…」
俺の腰に腕を回さず服を掴むだけだった小娘に、冷たい言葉で一喝してやれば恐る恐る細い腕が俺の腰に回される。
それを確認して、アクセルを全開に回した。勢いよく、静かな住宅街を走る。
イライラが溜まっている今、今夜はどんな風にして苛めてヤろうかと企む。ちょっとばかし痛い目に合わせなければ気がすまない。
バイクを走らせて15分。山奥にひっそりと佇む木造で出来た三角屋根の家は、明かりが着いていない。
伯父は出張、変態教師は仕事、腹黒弟はクラスの付き合いとか言っていたな。小娘を苛めるのに絶好の機会だ。
家に入り、小娘の折れそうな腕を何の迷いもなく力強く引き、俺の部屋まで来るとそのまま小娘をベッドの上に放り投げた。
「…きゃ…っ」
濡れていたシフォンワンピースはベッドの下で無造作に落ちる。それを踏みつけて、俺もベッドの上に乗った。
身を守るようにして身体を丸め、顔を俯かせながら震えている小娘に苛立ちばかりが積もる。
小娘の上に覆い被されば、小娘から漂う知らない匂いにさらに苛立つ。
「……で、説明してもらおうか」
ぐっと小娘の髪に手を差し込み、無理矢理顔を向けさせる。怯えた目が俺を映し、カタカタと震える小娘。
その姿に少しだけ苛立ちが支配欲と攻撃欲に変わり、口角を上げて目を細めた。
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