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だが俺が知りたいのはそんなことじゃない。家のどこから出たかなんて考えなくともすぐに分かることだ。
問題なのは、家から出ようと少しでも思った理由。二度とそんなことを思えないように躾なくてはいけない。
「たかがウサギごときで雨の中、裸足で外に出たと言うのか。この家がどこにあるのかすら、分からないお前が」
「…っ…ウサギ、さんが…寂しそうだったから……」
「黙れ。で、そのウサギを追ってどこまで行ったんだ??電波の届かないところ、だろ。どこだ」
「……」
「何だ、小娘ごときが俺に反抗する気か、あぁ??」
「ひっ…」
「言え。吊るされたくなければ早く吐け。あぁ、吊るすだけじゃ満足できないか?なら、全身を亀甲縛りにして朝になるまでそのままがいいか、ん??」
左手で白金の髪を引っ張りながら右手で小娘の顎を強く掴み、顔を近付ける。涙を溜めながらも流さないように我慢している微かな抵抗が、さらに俺のサディズムを刺激する。
バカな小娘だ。その顔がどんなに俺を喜ばせているかなんて知らずに、無意識でやってくるんだから。
「どうしてあんな坊主のガキ共のところにいた。あいつらは何だ。いつから話すようになった。答えろ小娘」
「……ウサギさんを、追って…走っていたら、公園にあるドラム缶の中に…っウサギさんが入って行って……そこから動かなくて…」
「公園とはどこの公園だ」
「分かり、ません…っ」
「チッ……まぁいい。で、坊主のガキ共はどっから来た」
この小娘は自分が住んでいる場所が日本だということしか知らない。この街のどこにどんな店や建物があるかも、もちろん分かるはずがない。
公園の場所が分からないならもう勝手に行くことはないだろうと結論付けて、最大の問題を問い詰めた。
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