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坊主2人と猫背1人のガキ。その中でも特に頭がキレて苛立たせる坊主がいた。 疑惑の目で探るように俺と小娘を見ながら、いろんなことを考えていただろう。だが、俺に刃向かうと言うことがどんなに愚かなことか、分かっていない。 「1人1人、名前を言え。高校名もな」 「…朝霧天磨さん、と城戸和遥さんは同じ高校、です…」 「朝霧と言う奴は坊主か??やたら突っかかる奴、ただ叫んでた奴、どちらだ」 「……朝霧天磨さんは、聖瑛さんが来たとき、玄関を開けた人…です」 「と言うことは、あの家は朝霧天磨の家と言うことだな」 「っ…はい」 「もう1人の坊主が城戸和遥か??」 「ち、がいます…宇賀神志龍さん、です…」 「高校はどこだ」 「そこまでは…分かりません」 内心、舌打ちをした。高校名さえ分かればすぐにでも釘を差しに行ける。まぁ、調べればすぐに分かることだが。 二度とこの小娘に近寄らないようにしなければいけない。こいつが生きる世界はこの家の中だけでいい。 話すのも笑うのも泣くのも食べるのも、この家の中だけで十分だ。他の奴などと関わらせない。 「何故、朝霧天磨の家に入った??」 「……公園でウサギさんをどうしようか、見てたら…天磨さんと志龍さんが、傘やタオルを持って来てくれて…風邪ひくから、と天磨さんの家が公園から近かったので…」 「その家で何をした??」 「天磨さんが作ったカレーを頂いて…お風呂に入って、上がったら和遥さん、が来ました…」 「風呂から上がった時の格好が、このTシャツ1枚だけだったと??」 「……っ…天磨さんのお母さんのお着替えを借りたんですが…ブカブカで…ズボンを履いても下がってしまうから…っ」 「なるほどな」 わざと短く返事をすると、小娘は何か言われると思っていたのだろう。気が抜けたようにホッとした表情を見せた。 .
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