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その後の授業は全く集中出来ずに迎えた、昼休み。またしても終了のチャイムが鳴り終わらないうちに教室に入ってきた、天磨と和遥。 天磨の手には本当にお弁当箱と思われるものが2つあった。ただ大きさが明らかに違う。 「ひーめっ、これ俺が作った弁当!!」 「わぁ……っ…嬉しいですっ。ありがとうございます!!」 「っ!!!…お、おうっ」 天磨からお弁当をもらった玖珂白桜は本当に嬉しそうに、顔を綻ばせた。瞬間、そこには桜の花びらの幻覚が周りに見えるほど、綺麗な笑顔で。 悔しいけど、認めたくないけど……その笑顔にドクンと心臓が高鳴った。 そうなったのは俺だけじゃなくて、教室内にいた生徒全員が顔を真っ赤にしてる。何も知らない奴が見たらりんご病が流行ってるのかと思うほどに。 『白桜様のあんな顔……初めて見たっ』 『やっべぇー…ちょー可愛い…』 『全然人形じゃないじゃん!!あんなに綺麗に笑えるのに何で今まで…』 教室内のあちこちで様々な言葉が飛び交う。俺も響也も和遥も、それに気付いて周りを睨んだ。和遥はおどおどしてたけど。 アホな天磨は弁当を作った時のことを一生懸命に熱弁している。嫌な顔せずに、むしろ嬉しそうに聞いている玖珂白桜も周りの言葉には気付いてない。 「テンテン~ここだと目立つからさぁ、場所移動しようか~。話もこんなところじゃ出来ないでしょ~?」 「あっそうだな!!姫、行こうぜ!!」 「……トッキーはどうする~?ハクちゃんに興味ないから面白くないよねぇ。まぁトッキーなら1人でも平気…」 「いや、俺も行く」 響也の言葉を遮って突発的に出てしまった言葉に、響也の目が曇ったように見えた。 俺自身、どうしてそんなことを言ってしまったのか分からなくて内心、ビックリしている。 頭で考えるより先に身体が動いた、ってことなんだろうか。 .
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