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聞いてもいいか悩んでいるような響也と和遥。俺から聞くのはおかしいことぐらい分かってるから、興味のないフリをする。
だがこいつには聞かないという選択肢は端からなかったようだ。
「もしかして姫は料理苦手なのか!?なら俺が教えてやろうかっ!!一緒に作りてぇ!!!」
「あ……えと…」
「はいストップ~。テンテン、ただハクちゃんと2人きりでキッチンに立ちたいだけでしょ~?下心丸見えだよ~」
「そ、そんなことねぇしっ!!」
「はいは~い。で、早くご飯食べないと話す時間なくなるよ~」
「あっそうだった!!」
「てて天磨くんっ…そ、そんなに焦ってたた、っ食べたら…っ」
「むごっ!!ごふっ…ぶふ…っ」
「アホ天磨」
和遥に背中をさすられながら口の中のものを必死に飲み込もうとする天磨に、俺はボソッと呟いた。
誰も聞いていないと思ってたのに、視線を感じて同じように見ると。小さく笑う玖珂白桜と視線が絡まった。
「……南条さんは、綺麗にご飯を食べますね」
「は??」
「あっ…すみません…でも、やっと目が合ったから少し……嬉しくて」
「………」
小声で話しかけてくる玖珂白桜は、純粋な言葉を言っているだけなんだろうが、相手によっては誤解を招くような言い方だ。
それを指摘しようとしたところで、俺たちに気付いた響也が間に入ってきた。
「ハクちゃんはゆっくり食べてていいからねぇ。眠くなったら寝てもいいよ~」
「ありがとうございます、響也さん」
「やっぱりまだ敬語、抜けない~??同い年なんだし、普通に話したいのになぁ」
「がっ…頑張ります…!!」
「うん、いい子いい子~」
響也は慣れた手つきで玖珂白桜の頭の上に手を乗せる。自然と受け入れて、嬉しそうに微笑む玖珂白桜に、俺と響也では全然距離が違うんだと言われているようだった。
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