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響也が口を開きかけて、教室にある時計に目を向けたらそれと同時に昼休み終了のチャイムが鳴った。
「ざ~んねん。続きはどうしよっかぁ」
「今日の放課後、俺んちに来ねぇ!?しりゅーもたぶん一緒に聞きたいだろうしっ」
「まぁ、オレは大丈夫だけど~。トッキーとカズくんはどうする~??」
「あっ…じじ、自分は塾が…っ」
「そっかぁ~。それは仕方ないねぇ。トッキーはどうなの~?」
「…………行く」
響也の俺を見る目がいつものと温度差を感じたけど、それに気付かないフリをしてひとことだけぶっきらぼうに返した。
俺がそう言うと分かっていたのか、響也は大して驚いた様子もなく「ふ~ん」と頷いただけ。
天磨は「じゃ決まりな!!!」と無駄に大きな声で言った中、玖珂白桜が困ったような表情で口を開いた。
「あ、あの……すみません、私は…お邪魔出来ない、です…」
「えぇっ!?なんでだ!?」
「テンテン~その理由も含めて放課後に話してあげるからさぁ。ハクちゃんのこと、責めないの~」
「あっ…わりぃ!!」
顔の前でパチンッと手を合わせてごめんのポーズを玖珂白桜に向けた天磨。そんな天磨に、玖珂白桜はブンブンと顔を横に振って、悲しそうな顔をした。
「謝るのはこちらの方です…あの、天磨さんに貸して頂いたTシャツ……実は破けてしまって…っ…弁償しますので、少しお時間かかってしまってもいい、ですか…??」
「へっ…!?いやいや、そんなのいいって!!お袋のだけど、Tシャツなんて何枚もあるしっ。1枚無くなったくらいで気付かねぇからさ!!!」
「で、でもっ…」
「マジでそんな気にすんなって!!俺、姫がこうして話してくれたり笑ってくれたりするだけで嬉しいからさっ」
「……ありがとうございます」
「にひひっ」
アホ天磨。笑いかけられたくらいで鼻の下伸ばしてないで、何でTシャツが破けたのか、そこを気にしろよ。
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