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「宇賀神志龍、天磨とは中学ん時に同じ野球部だったんだ。よろしくな」
「オレは五十嵐響也だよ~。よろしくねぇ」
「……南条叶貴」
「君が響也か!!今日はいろいろ話してくれるんだよなー??よろしくな」
一応短い挨拶は済ませて、天磨も宇賀神も早く響也の話が聞きたいようで、うずうずしている。俺は、初めて会った宇賀神と言う奴がどんな奴なのか、じっと観察することにした。
「オレが知っているハクちゃんのことを話すんだけどさぁ、先に1つだけリュウくんに質問してもいい~??あ、リュウくんって呼ばせてもらうねぇ」
「あぁ、何でもいいぜ。質問って何だ?」
「うん、あのさ~、リュウくんはハクちゃんのことを知りたいんだよねぇ?何で知りたいのかな~??」
響也の得意なヘラヘラした表情と口調にも、宇賀神は動じていない。ヘラヘラしているけど、聞いていることは至極真面目なことだと、分かっている顔だ。
俺も答えを促すようにして宇賀神を鋭く見れば、宇賀神はそんなことかと言わんばかりの態度で平然と答えた。
「そんなの、ただあのお姫様が心配だからに決まってる。なんて言うかなー、ほら、何だかすごく儚い雰囲気だろ??」
「分かる分かるっ!!姫、めっちゃ細いし折れちまいそうだもんな!!!」
「まぁ、体型もそうだし精神的にも、かなー。それに家族構成のことがすごく気になるし。ただの容姿がずば抜けているだけの子じゃないって分かったし」
「……ふぅん、なるほど~。あれだねぇ、お母さんみたいなお兄ちゃんみたいな目線でハクちゃんを見てるってことだよね~?」
「んまぁー…そんな感じ、か」
歯切れの悪い頷きに響也は疑いの目で見るが、わざと言葉では肯定させるような口ぶりをしている。
これ以上ライバルを増やしたくない、とはっきり顔にも雰囲気にも出ているが。たぶん、わざとだろう。
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