第1章 時のおとずれ

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校則違反であることも、それを委員長という立場にある月子にさせているかと思うと良心が痛んだが、むしろ月子が自ら進んで申し出て聞かないため、なし崩しで甘んじてしまっている。 よって今日も静流は、月子の自転車に乗って幼稚園へと向かうのだった。 「お、ホシ子だ。バイバーイ」 「ホシ子、ダッシュがんば!」 途中、かけられるクラスメイトからの声援に手を振りながらも一目散に駐輪場へ駆けると、月子の赤い自転車を探す。 それを初めて借りた日に、静流は「まさにママチャリだね」と笑ったが、月子は意に介さず「だってこの色なら、静流がすぐに見つけやすいと思ったのよ」と返されて、彼女が元から自転車を貸すつもりで自転車通学の申請を出したのだと気がついた。
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