22人が本棚に入れています
本棚に追加
人差し指で自らを指差し、白い歯をみせる。
「俺だよ。天城彗(あまき すい)」
「………あ」
「俺が七歳、お前が六歳までお隣さん同士だったろ?」
彼の笑顔から記憶がよみがえり、静流は一人首肯を繰り返す。
静流が六歳まで隣に住んでいた彼は、両親同士が気が合ったことから家族ぐるみの付き合いで、よく二人で遊んだものだった。
一歩先を歩く彼のあとを追いかけると、姿を認めては手を差し伸べてくれた男の子だった。
ところが彼が七歳のころ、ある日突然静流の前から姿を消した。
今から思えば父親の仕事の都合だと言う、自身の両親の話も納得できたが、当時は急過ぎて気持ちが追いつかなかったのを覚えている。
それ以来再会することのなかった彼がこうして目の前に立っていることを、静流はすぐさますんなりとは受け入れられなかった。
「え、彗って…あの彗なのー!?」
最初のコメントを投稿しよう!