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涼し気な額に、まだ成長仕切っていない体躯は少年そのものだが、凛とした声が芯の強さを示し、聞く者を圧倒する。
離れた場所からも、春斗の存在感は他の生徒から切り取られたように燦然としていて、上級生のフロアでも萎縮せず堂々として見えた。
こっちへ向かってくる弟の、予想していなかった登場は、少なからず静流を不安にさせる。
「なに、春斗、なんかあった!? 幼稚園から連絡とか!?」
「静流が心配するようなことは何もないよ。伝えることがあって…」
春斗は立ち止まり、遠慮なく彼女の隣にいる人物を視線で射抜く。
「誰?」
「あ…えっと…この人は、小さい時に隣に住んでてね」
迫力にしばし面食らっていた彗だったが、人懐こい笑みを浮かべると春斗と静流を見比べた。
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