第1章 時のおとずれ

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確かに今日の幼稚園へのお迎え当番は春斗だったのを、委員会があるからと静流が交代した。 それは今日に限ったことではなくお互い様だし、特別重要な用事なんて彼女にはなかった。 春斗だって放課後は友達と遊びたいだろうに、律儀に知らせにくるあたり、健気でいじらしい弟なのだ。 まぁそれを月子に言うと、「どこが?愛想無しの代名詞だろうが」と毎回邪険にされるのが不思議でならない。 「せっかくだから春斗こそ、友達と遊んだりしてきたら?」 「いいんだ、本来俺が当番なんだし」 「私は構わないよ?それに、それを言いにわざわざここまで?メールの方が面倒じゃないでしょう」 「それは…」 春斗は控えめな笑みを浮かべて静流を見た。
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