第1章 時のおとずれ

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「こういうのは直接顔を見て伝えたいから…」 「春斗…。じゃあ放課後は一緒に夢を迎えに行こう!靴箱何時に待ち合わせしよっか!」 和気あいあいと放課後の予定を立て出す二人から、おいてけぼりという形になった彗と月子だったが表情は相反するものだった。 月子は半ば小気味好い反応を期待して彗を見上げたところ、彼は月子の視線を感じて曇りない笑みで迎える。 軽くいなされたな、と月子は悟った。 「あ、もう春斗も授業はじまっちゃうね。自分の教室戻って」 「うん。わかってる」 背を向けたかと思われたが、去り際に春斗は彗を一瞥する。 「静流も授業がんばって。…成績落とせないんだったら、そんな不良とは関わらない方がいいよ」 面食らう彗にはどこ吹く風で、春斗はさっさとフロアからいなくなってしまった。 あとには満更でもないと頷く月子のセリフ。
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