第1章 時のおとずれ

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高校生だからといって多少の染髪は珍しくないし、非行が目立つからとすれ違いざまに先生に注意される程でもなく、シャツは学校指定のものをそれなりに着崩してはいるけどもきちんと着用している。 「なぁにが悪いのかなー………なんて思ってるかと思いましたので戻って来ました」 「わっ、月子ちゃん?」 気配なく現れた月子は、ぎょっとした彗にお辞儀をしながら「柴田です」と言う。 どうやら名前で呼んだのが気に入らないらしく、彗が二の句を告げる間もなく、「柴田です」を被せてもう一度言うのだった。 「う、うん、それで、何かな、柴田サン」 「春斗君からすれば、先輩が不良に見えるのも仕方がないことなんです」 月子は口調こそ丁寧だが、突っかかってくるものを彗は感じる。
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