第1章 時のおとずれ

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「先輩もご存知だと思いますが、この学校って、成績上位者は学費が免除されますよね。春斗君は、その上位者の中でも全額免除を受けている位の成績なんです」 「全額、って……そんなの学年で一人二人ってくらいじゃないの?」 言ってから、彗は息をのむ。 月子が無言で笑みを深めたからだ。 「春斗君は内部生とはいっても首席で高校を入学してます。私も学費は払ってないですし、静流はああやって忙しそうにしても、常に試験結果順位は一桁キープしてます」 会話はこれで終わりだと言わんばかりに再度一礼をすると、月子は軽やかな足取りで教室へ向かうが、その場を動かない彗を見やって「だから春斗君がああ言うのも仕方がないんです」と笑んで去った。
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