第1章 時のおとずれ

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当然始業のチャイムは鳴り終わり、人通りがなくなった廊下を彗は自分の教室目指して歩く。 三年生が学校では最高学年というなら教室の位置も優遇してもらいたいもので、三階まで階段をのぼるうちに朝は遅刻扱い、そして他学年からは近寄りがたいと敬遠される。 静流が彗のもとへ訪れたことがないのはそのせいだと自己暗示をかけ、彼は自分の教室の扉を開けた。 「お。彗、どっか行くんなら俺も誘えよ」 携帯電話を操作する手は止めないまま龍太郎は、彗の席でほおづえをつくと、目線だけを寄越して含み笑いをする。 「ぶぁーっか。自習をあえてサボったりしねぇよ。現にこうやって戻ってきたろ」 「お。出た、彗の〝意外とマジメ君〟」
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