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成績も授業態度も至って平均点である彗を、龍太郎はたびたびこう揶揄するのだが、彗として苦笑する他なかった。
誰もが認める優等生になるほどには動機に欠けるし、かといって世を蔑みヒネた学生は格好悪いと考え、全てにおいて及第点ばかりを取りたがる。
良い評価で注目されたいと望む相手がいるわけではなく、悪い評価で気を引きたいと望む相手がいるわけでもない彼なりの持論なのだったが、龍太郎はむしろその器用さを見抜いた上で茶化すのだ。
そんな時、彗はいつも笑ってやり過ごすしかなかった。
「んでー、行ってたのはまたあの〝ホシ子〟んとこ?」
「まぁなー」
自分の席は龍太郎に座られているので、彗は前の席の椅子を引く。
どうせ授業は自習で、誰もがおとなしく席に留まってはいなかったから、気にする人もいなかった。
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